google/zx と VSCode で快適にスクリプトを書く
前回 Kotlin Scripting を使おうとしてみて、導入はよい気がしたものの、実際使おうとすると、HTTP クライアントどうするのとか、JSON はどうやってパースするのとか問題が山積みなことに気付いた。結局ライブラリが全部 Java ないし Kotlin なので、スクリプトとして使うための手軽さがなかったり、やたら識別子が長かったりする。
ということで、今度は他の選択肢として気になっていた zx を試した。zx は JavaScript でシェルスクリプトを置き換えるようなところを狙ったもの。
Homebrew にパッケージがあるので導入は簡単。npm のパッケージを npx で使ってもよい。公式だと GitHub Actions の中で使うなら npx がおすすめとされていた。
特に何も import しなくても最初からファイル操作できるようになっていたり、外部コマンドの呼び出しを$`command`
で実行できて、しかも Promise
を返してくれたりと、モダンな感じ。
fetch
とか JSON.parse
とかももちろん問題なく使える。
とはいえ、個人的には JavaScript で書きたいと思ったのは、VSCode で JavaScript を書いているときの補完の優秀さをちょっとしたスクリプトにも持ち込みたいというのが最大の理由。これがなかったら Ruby とかのほうが便利なんじゃないかと思う。特に、コレクションの操作でいうと JavaScript は貧弱な印象。
補完を使えるようにしようとすると、意外と素直には行かなくなってくる。zx コマンドで実行するスクリプトとして書く場合、zx の提供する機能は暗黙のうちに import 済みの状態なので、VSCode でソースを書いているときに認識してくれない。何も import しなくても最初から便利に使えることが完全に仇になっている。
zx はコマンドだけではなくライブラリとしても提供されているため、import して使うこともできる。この場合、import を明示的に記述しているので VSCode は zx を認識してくれる一方で、package.json
を用意して npm install
しないとスクリプトを実行できず、手軽さが損なわれる。
いろいろ調べて辿り着いたのが、Triple-slash directive を用いる方法。この方法でも package.json
を用意するのは変わらないが、import する代わりに Triple-slash directive のコメントで zx を使用していることを表明する。これにより、VSCode は zx を認識してくれて補完が効きつつ、import はしていないことになる。結果として、zx をライブラリとして使う場合とは異なり、開発環境とは別の環境で実行する際に npm install
なしで zx コマンドや npx 経由で使える。
しばらくこれで試してみようと思う。
ちなみに、調べていく中で Deno もなかなかおもしろいなと思った。Deno は設定なしでいきなり TypeScript が使えて、package.json
なしの単一ファイルのみで外部のライブラリを import できるので、ちょっとしたスクリプトとの相性が非常によい。
# ついでに標準の機能でスタンドアロンのバイナリを作れるのもよさげ。
さらに、zx-deno や bazx、dx、deno-dzx などなど、Inspired by zx な Deno 向けのライブラリが多数存在する。ただ、いずれも本家 zx と比べると GitHub の Star 数はまったく桁が違うので、継続して使うなら zx なのかなぁとなる。Deno で zx が動いてくれるのが最高とも思ったが、サポートするつもりはないらしい。残念。